リーディング力 、つまり英文の読解力を上げる為にはどの勉強法が効果的なのか紹介します。
詳しくは後述しますが、リーディング力を上げる事は、長文読解ができるようになるだけでなく、リスニング力、さらにはスピーキング力をも上達させることになります。
英語を学ぶ時に基本的な順番は
- 「文法」+「基礎的な単語」
- 「リーディング」
- 「リスニング」
- 「ライティング」
- 「スピーキング」
であると紹介しました。
→英会話を独学&最短で習得する勉強法!英語学習は順番が重要
その為『英文法』と『単語』を学び、リーディングに取り組む事は、英語を上達させる上で効率が良いのと同時に後々のライティングやスピーキングに向けた布石にもなります。
英語学習の分野は
『インプット』と『アウトプット』
に分けられ、『インプット』の学習を先に行うことで、『アウトプット』が可能になります。
では、リーディングとリスニングどちらを優先させた方が良いのでしょうか?
今回の記事では、リーディング力を上げる為に効果的な意外な勉強法とコツを、精読のメリット・デメリットなどを紹介した上で、リーディングとリスニングどちらを優先させた方が良いのかお伝えしたいと思います。
多読・精読・速読?
リーディング力を上げる為の学習方法として優先順位を上げるのであれば、精読≧多読>速読の順をお勧めします。
特に速読に関しては読解力を上げる事よりも、テストでの点数を取る為のテクニックの1つだと私は認識しています。
もちろん、長文から必要な部分だけを『抜き出す』というスキルは、それ自体にも価値のあるスキルだと思います。
このスキルが必要ないとは思っていないのですが、『英語を理解する』という視点で考えた時に、ちょっとそれるかなと思います。
私個人の意見として、速読は
- TOEICやIELTSで一定の点数が必要に差し迫った人
- 英語上級者で、速読を身に付けたい人
のどちらかに当てはまる方が採用すべき学習方法だと思っています。
日本語でもそうじゃないでしょうか?
自己啓発やビジネス書・実用書として、速読に関する書籍がありますよね?
だから速読は基本的に、読解力のある人が、さらなるステップアップの為に身につけるスキルかなと私は認識しているので、この記事では取り上げていません。
英語を英語のまま理解する練習方法
“英文を理解できるようになる”
“長文も難なく読めるようになる”
リーディング力を上げる為には、『精』」と『多読』の二つをうまく織り交ぜる必要があります。
『精読』とは文字通り、精確に読む事。
単語の一語一句を意味を調べ、文法書などを使いながら英文の意味をしっかりと読み取り、日本語に翻訳して理解することです
学校や塾の授業で行われている一般的なリーディングの勉強方法ですね
この勉強法は、自分の理解できる英語のレベルを上げてはくれるのですが、この方法だけに偏って勉強していると、あなたは一生
『英語を英語のまま理解する』という感覚を身につけるのは難しいです
なぜなら、この勉強方法で行なっているのは『英語の解読』であって『英語で読む』ということではないからです。
とても大切な事なのでもう一度
『英語の解読』と『英語で読む』は別物です
私自身はずっと辞書と文法書を使って解読作業にいそしんでいた時期が長かったです。
そもそも『英語で読む』という概念すら頭になかったものですから、日本語訳に直して意味を理解していたので一向に『英語を英語のまま理解する』感覚も味わったこともありませんでした。
私が英語のまま理解できるようになった方法は次の3つです。
- 辞書も文法も必要ない簡単な英語を読む
- 『ほぐした』日本語で理解する
- 音声を使う
この3つの方法を取り入れてから、『英語を英語のまま理解する』感覚が身についてきました。
簡単な英語を読む
あなたにとって辞書も文法書も必要ない英語を読む事。
これが非常に効果があります。
“How are you?”や”This is a pen”は、日本語訳を必要としなくても理解できますよね?
“日本語訳を必要としない”
この経験を積み重ねることが、英語のまま理解する感覚を手に入れるために非常に効果的なんです。
過去の私を含め、多くの人が自分のレベルより高い英文を読むために、辞書を見ながら意味を調べて日本語に解読しています。
それは、
“英語学習とは、難解な長文を理解できるようになること”
“キチッと日本語訳にして課題を提出すること”
このような学習スタイルを無意識のうちに刷り込まれてきているからです。
ちょっと考えて見てください。
私たち日本人は生まれた時から小学校に入るまでの7年間は、日本語に浸かった状態で生活しますよね?
それも頭が柔軟で語学を吸収しやすい子供の時期の7年間です。
小学校1年生の国語の授業で、難解な文章が使われていますか?
ひらがなたっぷりの、優しい日本語文だったはずです。
私は『かだい』や『みぶり』といった単語を知らなかったのを覚えています。
(授業で間違えたので覚えています 汗)
で、あなたは最低でも7年間、上に上げたような環境で英語に浸かってきたのでしょうか?
おそらくそうではないですよね?
これまでの精読に偏った方法で、効果が出てないのであれば、『簡単な英語を読んでみる』をなおさらやってみる価値はあると思いませんか?
自分の英語レベルより簡単な英語で『多読』を行う事が、英語を英語まま理解する感覚を手に入れるために効果的な練習の1つです。
このポイントについての詳細はこちらの記事で紹介しています
『ほぐした』日本語で理解する
英語を英語のまま理解するためには、完璧な日本語訳を捨てることも重要ですです。
これは大切な事ですが
『英語を(完璧に)理解できる』と『(完璧な)日本語に訳せる』
は別物です。
これは、英文が長くなればなるほど顕著になります。
だから、日本語を『ほぐした状態』で理解できるようにする訓練が必要です。
具体的にどう言う事か紹介します
日本語と英語は語順が全然違いますよね?
例えば英語の
“Is there anything else I can do for you?”
を、読んだ時・聞いた時に
『何か他にお手伝いできることはございますか?』
と日本語らしい日本語にするのではなく?
英語の語順のまま日本語にするのです
つまり
Is there→ありますか?
anything elese→何か他に
I can do →私ができる
for you→あなたの為に
“Is there anything else I can do for you?”
→ありますか?何か他に、私ができる、あなたの為に
この語順の日本語にほぐす事って実はスピーキングの時にも大切になってきます。
この『ほぐした』日本語のトレーニングに関しては英語脳を作る記事で詳細を紹介していますので、参考にして見てください。
→英語脳の作り方!返し読みの卒業におすすめのトレーニングと勉強方法
音声を使う
『すみません』って言葉、大きく分けて3つの意味があると思いませんか?
- 感謝
- 謝罪
- 呼びかけ
これの使い分けは、話し手のトーンやイントネーションによって決まりますよね?
極端に聞こえるかもしれませんが、文字には『意味がない』という意見をもつ言語学者さんもいます。
『音』に意味があるんです。
そして『音』には『感情』が込められますよね?
言葉と言うのは、『感情』を伝える手段ですから、感情が込められた音は意味を理解しやすくなります。
例えば相手に『2度とそんな事するな!』と伝えたい時、次の3つの中で、音声がある方が一番意味がスッと入ってきやすいと思いませんか?
“Don’t you ever do that to me again!”(棒読み)
“DON’T YOU EVER DO THAT TO ME AGAIN!”(強調気味)
(感情が入った音声)
で、『インプット』学習であるリーディングとリスニングのどちらを優先して行うかなのですが、もしあなたが、
- 『いますぐ読解力をあげる必要がある』という差し迫った理由がなく、
- 『将来的には海外ドラマや映画を聞き取れるような英語レベルを目指す』
というのであれば、リスニングを重点的にやる方をお勧めします。
リーディング力 vs リスニング力
『インプット』である、リスニングとリーディング。
どちらを先に手をつけるべきなのか。。。
実は、これに対する回答って『絶対こっちが先』と言いにくいのが実情なんです。
というのも、ある英語を聞いてスッと理解できる為には、その英文を読んだ時に難なく理解できる必要があります。
例えば、次の動画の11秒目の女性の発言
(What about you, Kim ?の後)
この動画は、
“単語は聞き取れるけど意味が理解できない時の対処法”
に関する記事で紹介したものです。
こちらが女性のセリフです。
If I hadn’t selflessly deserted the team in the half time, you woudn’t have won!
どうでしょうか?
もし、”意味はスッと理解できるけど、聞き取れなかった”というのであれば、あなたに必要なのはこのレベルの英語でリスニング学習を行うことです。
もし、この英文を読んでスッと意味が理解できなければ、リスニングで聞いても『基本的に』理解する事はできません。
その為、あなたに必要なのはリーディング力アップ、つまり読解力を先に上達させる学習になります。
『基本的に』と言ったのは、実生活では英文だけではわからなくても、相手の会話を聞いて理解できる場面はたくさんあるからです。
その理由は前後関係や話の流れ、相手の表情や身振りなどが手助けとなって、聞き取れた単語から意味を推測することができるからです。
これはこれで、意思疎通の手段としては素晴らしい事なのですが、『リスニング力』という点に限っていえば、本当の実力を知ることができません。
本当のリスニング力、特に『聞き取れるスキル』を調べる為には、音声のみの状態で行うのが理想です。
と、この部分だけ見れば、リスニングよりもリーディングを優先させた方が良いですよね?
実際に私もそう信じて疑わなかった時期がありました。
『絶対にリーディングが先!』
『理解できる英語の幅を事前に広げとかなきゃいけない!』
って本気で信じてました。
でも今はちょっと見方も変わり、
リスニングのちょっと先をリーディングが進む状態で学習する
この方が良いかなと感じていますし、仮に英語力が振り出しに戻ったとしたら、この方法でやり直します。
その理由を私の経験を踏まえながら紹介したいと思います。
リーディング>リスニングに偏った末路
今でこそ、私はリスニングを重点的に行った方が良いと思っていますが、以前は逆でした。
それこそリーディングで読解力をガッツリ伸ばし、読んだ時に理解できる英語の幅を前もって増やして置くこと。
そしてカタカナ英語でも良いから、”Hello”は『ハロー』に近い音と認識して、その音のずれを後で擦り合わせて行けばいい
そう思っていました。
なぜなら私自身がそうやって英語力を伸ばしてきたからです。
リーディングに偏った原因
私の学習方法がリーディングに偏ったのは、主に次の3つの要因があります。
- リスニング学習のやる気維持ができなかった
- リスニングに時間を費やせない環境
- 英語耳を作るには時間がかかる
まずは、この3点から。
今でこそ、リスニング学習はどのように行うべきかというノウハウを確立してますが、高校時代の私にはそんなのはありませんでした。
ただ、なんとなく英語を聞いたり、海外ドラマをちょっと見て
『う〜ん、聞き取れない。。』
『全然わからない。。。』
『でも、聞かないよりはマシだろう』
と、効果があるのかわかならい方法で行なっていました。
(今となっては、ほとんど意味のないことなのはわかるのですが・・)
効果があるのかわからない学習を続けるのってかなり苦痛ですよね?
だって出口の見えないトンネルをひたすら走っている感覚ですから。。。
なので、リスニングに対してモチベーションの維持ができなかったのです。
2つ目。
リーディングに偏った学習は大学に入ってからさらに拍車がかかります。
オーストラリアの大学に進学した私は、案の定リスニングはボロボロだったので、講義の内容はチンプンカンプンです。
でも、授業の内容は把握しないと単位が取れないし、卒業もできない。。。
だから必然的に教科書を狂ったように読む必要がありました。
教授の話していることが聞き取れないので、教科書から内容を理解するしかすべがなかったのです。
そして、提出しなければならない課題もドンドン出てくるので、リスニング用の音声を聞きながら論文やレポートを書くなんて芸当をできる余裕もありません。。
リスニング学習に関する記事でも書いてますが、自分に知識のある分野とない分野では、リスニングでの理解力に大きな差が出ます。
なので、講義の前に教科書の内容を読んで把握してから出席していたのです。
そして3つ目。
英語の『音』を拾えるようになる為には、どうしても時間を費やす必要があります。
リーディングで理解よりも、リスニングで理解できるようになる方が、どうしても時間がかかります。
専門的な話になりますが、『英語の音』をもっていない私たちは、必然的に『日本語の音』を使って英語を学習する事になります。
日本語の「スタンドアップ」と英語の”stand up”。
日本語は同じ母音の「ア」ですが、英語では”æ”と”ʌ”と明確に違う母音を使い分けているんです。
この違いがわかるようになる為には『英語の音』を認識するための神経回路を構築する必要があります。
この神経回路をもっていないと、音の違いを認識できないので『空耳』という現象が起こります。
いつか見た動画で、”Is the tip included”が『いづれテッペン超えれる?』に聞こえるという空耳が紹介されていました。
これは英語の音を認識するための神経回路がないので、そう聞こえるのも無理はないんです。
そして、この神経回路を構築する為には、英語の音を意識して何回も聞く必要があるのです。
(このトレーニングを精聴と言います)
これをキチンと構築する為には時間がそれなりにかかります。
当時の私には、この神経回路の知識すらありませんでしたし、伸びにくいリスニングに対して時間を費やしている余裕がなかったんです。
で、その結果どうなったか?
リスニング学習で2度手間をくう羽目になります。
『英語の音』を知らない状態でリーディングを行うということは、『自己流の音』で英語を読む事になります。
もちろん、あなたが最終的に目指す英語力にもよりますが、このやり方でリーディングを重点的にやるとネイティブ向けの動画や音声を理解できるようになろうと思った時に、これまで培ってきた『自己流の音』が邪魔になります。
例えば
“annihilate”という単語は、スペルだけ見ると『アニヒレイト』と言いたくなると思います。
でも実際には『アナイエレイト』に近い音で発音されるのです。
だから『自己流の音』で覚えてしまっていたら、実際に”annihilate”が使われた時に認識できません。
それに加え、実際に会話でリンキングや省略音などの『絶対に自己流では聞き取れない音』が存在します。
その音は『自己流の音』でリーディングをやっている限り、認識できるようにはなりません。
日本語でも同じですよね?
- 体育館→たいっかん
- ありがとうございました→ありゃっしたー
文字だけで学習している限り、こういった実際に使われる音の変化に対応ができないんです。
つまり『音』を学習し直す必要があるのです。
『2度手間を食う羽目になる』と伝えたのは、この理由の為です。
であれば、最初からネイティブの音で勉強した方が効率が良いと思いませんか?
なので、先ほど
『いますぐ読解力をあげる必要がある』という差し迫った理由がない場合は、リスニングの方に重点をおいた学習の方が先の事を考えた時に効率が良いと考える理由です。
他にも、リスニングを重点的におこなうメリットがあります。
それは、隙間時間を勉強時間に変えられる事です。
これを一度習慣化すると、英語学習に費やす時間が加速的に増えていきます
これ、本当にバカにできないくらい重要な事なんです。
ちなみに大学留学の3年間の授業でリスニングに費やした大まかな時間は720時間です。
→【留学は多忙で大変か?】海外留学の勉強量と英語上達の関係を考えてみる
3年間でたったの720時間です。
で、隙間時間を英語学習にすると1年間で700〜1000時間の確保は全くの不可能とはならないと思うんです。
1日に隙間時間ってどれくらいありますか?
ここで言う隙間時間とは、何か作業をしているけど、耳が空いている時間です。
私の場合
- 通勤時間(徒歩20分)
- 料理中&食事(60分)
- 洗濯物干す時(5分)
- 洗濯物たたむ時(5分)
- 掃除中(30分)
- スーパーで食材買う時(40分)
- プールで有酸素運動するとき(60分)
机に向かって学習できる時間なんてそうそう毎日確保できないですよね?
だからこそ、隙間時間を有効活用するんです。
隙間時間にサッと聞ける体制を整えて起き、料理を準備する時や自宅と職場の往復の時に聞くのです。
また半身浴が好きなのであれば、その時間も学習時間に変えることができます。
一度あなたの隙間時間(他の事をしているけど耳が空いている)を洗い出してみてください。
トータルで2~3時間以上あれば、年間700~1000時間の確保が可能です。
数少ない机に向かって勉強できる時間は、この隙間時間で聞くための音声の意味を『精読』によって、理解しておくために使います。
一度『精読』した内容を流し聞きするのは効果がある方法です。
そして隙間時間にその音声が頭にこびり付くくらい何回も繰り返し聞くんです。
21世紀にいきている私たちには、それをウンと楽にしてくれるテクノロジーがあります。
MP3プレーヤーやブルートゥースのイヤホンです。
掃除する前に耳にかけてスイッチを入れるだけで、英語学習ができるのですから利用しないなんてもったいないです。
以前の私は、自分が成果を出してきた方法を『これが正しいやり方です』(ドヤッ)紹介していましたが、今思えば恥ずかしいです。
だって全く
再現性について全く考慮していなかった
のですから。。。
私がリーディングにたくさんの時間を割くことができたのは、それができる環境に自分がいたからであって、多くの人はそんなに時間がないですよね。。
『効果がある方法』は当たり前で、なおかつ多くの人が実践可能な『再現性』を考慮した学習方法を提示すべきかなと思うんです。
『私はこれで効果がありました!はい!あなたもどうぞ』
で終わるのではなく
『この方法ではより多くの人に実践可能だろうか?』
その視点にたったの英語学習方法を紹介できるように勤めていきたいと思います。
ぜひ参考にして見てください。