英語圏に留学する場合、授業は全て英語で行われます。これから留学しようか悩んでいる人にとって勉強量や英語力の上達について気になる方も多いのではないでしょうか?
インターネットでも様々な意見・質問が出ていますが、大多数が以下のようなものが多いと思います
- 遊ぶ暇が無いくらい勉強が大変
- 授業が、教授の言っていることが理解できない
- どれくらいで英語に慣れる&話せる?
今回の記事では、私の経験を通じてこれらの疑問に具体的な例・数字を用いて回答したいと思います。
最後まで読んでくれた方には、私が実際にこなしてきた授業の内容やレポートをいくつか実際にPDFにてダウンロードできるようにしています。勉強量のイメージがつきやすくなるかなとは思いますので、ご自身の将来に役立てば光栄です
留学前の自分
留学の効果をわかりやすくするために、留学前(18歳)の自分のスペックを晒します
通っていた高校の偏差値は51でしたので、特別高くもありません。
TOEFLのスコアはペーパーで530のライティングが3.5でした
(実際の証明書が手元にないので、大学とのやりとりの文でご確認ください)
そしてライティングの文も少し載せますので、参考にしてください。
日本にいた時の学校での英語の授業は文法と読解を中心としたものでした
リスニング力をつけようと思い、字幕なしで映画を見始めましたが、さっぱりわからないまま
そのため、やり方を変えたところ、リスニングとリーディング、そして切羽詰まった状態だったので、小手先のテクニックに頼りなんとかTOEFL530を取ることができたのだと思います
ちなみにスピーキングは、本当にダメでした
単語が口から出てこないのです。英文はある程度のスピードで言いたい事を書けてはいたのですが、いざ口にしようとすると詰まるのです
今でも覚えています。大学の寮に着いた初日にBBQパーティーがありました。そこでオージーに話しかけられたのですが、訳わらない状態で「ソーリー アイ キャンノット スピーク イングリッシュ」と言い、立ち去ってしまった記憶があります(大変失礼ですよね。。)
とまぁそれくらい、ダメダメだったのです
では、実際に大学の授業について見て行きたいと思います。
学部留学でこなす勉強量とは?
大学は英語を勉強する所ではなく、英語で勉強する所です
学部留学をすると、どれくらいの英語に触れることになるのでしょうか?
- リーディング
- リスニング
- ライティング
- スピーキング
このセクションでは、上記4項目にそれぞれ、どれくらい費やす事になるのか実例を見ていきます
リーディング量
私はオーストラリアの JAMES COOK UNIVERSITY という大学に通いました
この大学は2学期制で、1学期に4教科選択します
大体1教科につき、必要なリーディング量がこちら
- 教科書 x 1(500ページから1000ページ)
- 参考文献 x 10 ~ 40
- 教科ガイド
教科書に費やす時間
最初の頃は、本当に苦労しました。教科書に出てくる単語はわからないものばかりなのです
学校の授業にでも、教授の言っている事が全然わからなかったので、教科書の内容だけは理解しないと単位が取れないと思い必死で授業前に予習をしましした
今でも記憶に残っているのが1チャプター20ページのマーケティングの教科書
(画像のは5エディション目ですが、私のは4エディション目でした)
これを授業前に把握しようと夕飯後に読み始めたら、気づけば朝方になっていました
20ページ程を読むのに8時間もかかっていたのです。。。さすがにこれはびっくりしたのと同時に凹みました。。
参考文献
参考文献は、自分の意見をサポートしてもらうために必要なので、PDF形式であれば、パソコンの検索機能を使いながら読んでいました。
ちなみに教授から読むことを推奨される文献もあるので、これも読むことになります
下記画像の”Further Reading”がそれにあたります。”Prescribed Text(Compulsory)”は購入が義務付けられている教科書のことです。先ほど紹介した教科書が記載されていますよね
このような文献・論文は、大体3000文字(ページじゃないですよ)くらいでしょうか。ちょっと幅が広いので平均値くらいと思われる文字数を述べました
教科ガイド
これは、授業の進め方や、スケジュールなどを記載したもので、1教科につき1つ必ず用意されるものです
必要な教科書や、課題の提出期限など、単位を取る上で必要な情報が書いてあるので、内容を理解している必要があります
先ほどの指定教科書の画像も、こちらの教科書ガイドに書かれているものです
1教科につきこれくらいのリーディング量があります
つまり単純計算でいうと、学期ごとにこれの4倍の量をこなします
そして私は3年間通ったので、これの24倍のリーディング量を3年間で経験したことになります。
学部留学のリーディング量まとめ!
- 教科書:750ページとすると。750 x 24 = 18,000ページ
- 参考文献:少なめに2000文字の6文献と想定しても、(2,000 x 6) x 24 = 288,000文字
- 教科書ガイド:24教科分(ページ最後にサンプルを一つダウンロードできるので目安にしてください)
リスニング量
1教科につき講義が週に1回とチュートリアルと呼ばれるゼミみたいな授業が1回〜2回ありました
それぞれ1コマ50分が2回ほど、つまり英語の授業は1教科につき週に150分〜200分です
大学の講義の模様を確認できる動画をYouTubeで発見したので紹介します
まさにこんな感じです。しかもちゃんと約2時間にわたって講義が続いています
そしてこちらが”Tutorial”と呼ばれるものの様子が確認できる動画です
このようにして、英語による講義・授業が1教科につき大体150分から200分費やすことになります
1学期は大体12週間ですので、これを目安にリスニング量を計算します
学部留学のリスニング量まとめ!
- 講義:(100分 x 12週間) x 24科目 = 28,000分 = 480時間
- Tutorial:(50分 x 12週間) x 24科目 = 14,400分 = 240時間
- 合計:720時間
どうでしょう?学部留学を3年間すると大体720時間は英語を必ず聞くことになります
こうして計算してみると少ないなぁと思うのが私の印象です
かなり単純な計算にはなりますが、英語ネイティブたちは、寝ている時以外は英語に触れていると仮定すると1日に16時間は英語に費やしていることになります
つまり上の720時間は、たったの45日間で満たしてしまうのです
もちろん我々も留学した以上、教科書を読んだり、日常生活で英語に触れるので上の計算は極論ですが、イメージは掴んでいただけたかと思います
日本語が母国である以上、意識して英語に触れる環境に身を置かないと、海外に来てもそこまで英語漬けにならないことがイメージしていただけたかと思います
ライティング量
自分は留学で一番鍛えられたのは、ライティングだと思います
とにかくレポートと論文を書かされます。最低文字数指定は当たり前で、参考文献を一定数使い引用したり言い換えたりしながら英文を組み立てていく必要があります
レポートや論文の量は、専攻科目によって差があると思いますが、ここでは私の専攻科目を例にして紹介します
この強化では、二つのレポート文を書かされました。それぞれ2,000文字と3,000文字で、大体これくらいの文字数を1教科につき書くことになります
(この二つのレポート文はページ下記にてダウンロード可能です)
ではこれを元にざっと計算してみます
学部留学のライティング量まとめ!
- レポート文 1:2,000文字 x 24 = 48,000文字
- レポート文 2:3,000文字 x 24 = 72,000文字
- 合計:120,000文字
ちょっと文字数からは、イメージが掴みにくいですね。。ぜひ僕のレポート文を手に入れて、印刷してみてください。
その24倍以上の英文は学部留学で経験することになると思います。
補足
学期末テストは必ずと言っていいほど、ショートエッセイを書かされます
そのため上記で24倍以上としました
スピーキング量
実は留学生活で、一番伸び悩むのがスピーキングだと思います
大学生活だけをみると、英語を「話す」機会というのは、あまりあません
小学・中学・高校と日本でも授業がありますが、皆さんクラスで積極的に発言していましたか?
私は、先生に当てられた時しかしませんでした。他のクラスメートも同じ感じでした
大学の課題として「話す」機会は、プレゼンテーションです
そのプレゼンテーションの長さも教科により、バラツキがあります
私の例で2つ紹介します
1:40分間のプレゼンテーション
2:10分未満のプレゼンテーションと5分間の質疑応答
これもまた、チームを組んで行なったりと時間にばらつきがあるのですが、私の感覚でいうとひとり10分くらいな気がします
これに加えて、発表前にグループで集まって話し合い等はするので、ひとりあたりの発言をトータルで15分くらいとします。
(役割分担を決めたら、パッと解散して各自作業に移る感じです)
ではこれ参考ににざっと計算すると
学部留学のスピーキング量まとめ!
- 課題:10分 x 24 = 240分
- ミーティング:15分 x 24 = 360分
- 合計:600分=10時間
3年間の学部留学で大学の授業に関連したスピーキングの時間は、たったの10時間なんです。。
(自分で今計算して「ここまでとは。。」とびっくりしていますが。。)
これもリスニングと同じで、意識して英語を話す環境に身を置かないとスピーキングに費やす時間は意外と少ないのです。。。
ただ、これはそこまで悲観する問題ではないと思います
事実私も大学を卒業したての頃は、スピーキングがそこまでできた気がしません
卒業の少し前からホテルで働いていたのですが、卒業後も継続してそこでしばらく働き続けました。そして宿泊客と話す機会を設けたことで、スピーキングは格段に上がったと思います
これは、大学でライティングを沢山こなしたことが、関係しています
別記事で説明していますが、英語学習の法則に「ライティングができてスピーキングができるようになる」という物があります
参考記事
英会話を上達させるためにすべき事
いかがでしょうか?
海外の大学生活の勉強量について若干イメージがつかめたでしょうか?
では、冒頭の質問に戻って、私なりの経験をお伝えしたいと思います
- 遊ぶ暇が無いくらい勉強が大変
- 授業が、教授の言っていることが理解できない
- どれくらいで英語に慣れる&話せる?
遊ぶ暇が無いくらい大変か?
最初の1学期は遊ぶ暇がありませんでした。週末も図書館や家にこもって教科書を読んで予習&復習ばかりです
そうしないと本当に追いつけない状態でした。とにかく語彙力が足りなすぎて、教科書の内容よりも英語の勉強をしていた印象が強いです。。。ただ週一の草サッカーをするくらいの余裕はありました
ただ、この勉強を繰り返しているうちに、次第に英文に慣れてきたので、1年後には途中から週20時間のアルバイトをし始めるくらい余裕ができました
2・3年目になると、かなり余裕もでき、バイト先の人と飲みに行ったりビーチにリラックスしに行ったりと状況は大分変わりました
下に詳しく書きますが、やはりこっちに来る前に文法をある程度きちっとこなしていた事が大きかったと思います
授業・教授の言っている内容がわからない
これも最初の1学期目が本当にそうでした
教授の話す内容&スピードに全くついていけなかったのです。クラスでお地蔵さん状態です。。
そのため、「このままじゃいけない」と思い、授業でカバーする部分を徹底して先に教科書で予習することにしたのです
これをすることで、かなり良い変化が生まれました
教授の話す内容を随分理解できるようになったのです
あらかじめ知識として頭にある内容は、理解しやすいのです
日本語でも同じだと思うのです
会計や医学などの専門知識をいきなり聞いても頭に入りにくいですが、事前に予習しておけば頭に入りやすいですよね?
授業だけでなく、自宅でテレビやラジオを聞いて、英語を意識して聞いていました
上にも述べましたが、意識して英語に触れる環境に身を置かないと授業による英語だけでは明らかにネイティブ達との差は埋められないと思ったからです
時間を見つけては、カフェに繰り出して、教科書を読んでいるフリをして、人の会話を盗み聞きしてリスンング勉強をしていました
これを1年くらいやって、ようやく授業中の会話にある程度ついていけるようになったと記憶しています
どれくらいで英語に慣れる&話せる?
では、いったいどれくらいで、英語に慣れて話せるようになるのでしょうか?
英語の「慣れ」や「話せる」にも様々なレベルがあるし、環境要因や個人差もあります。ここでは自分が経験した「段階」を使って説明します
英語に慣れるとは?
まずは「慣れ」からのお話をしてみたいと思います
大きく分けて3段階があると思っています
- 英語を聞き続けることに慣れる
- 単語・単語を拾いながら、話し手の意味がなんとなくわかる
- 話し手の言葉の英文を、ほぼ全部聞き取ることができる
1:英語を聞き続ける事に慣れる
「聞き続ける事に慣れる」とは、英語を「聞き続けても頭が疲れない状態」をここでは指します
オーストラリアに移った最初の頃は、英語を英語で理解ができていませんでした
聞いた英語を頭の中で日本語に変換して意味を理解していた自分は、ある程度の英語を聞くと頭が疲れてしまって眠くなってしまっていたのです
皆さんも日本語で経験がありませんか?頭を使う難しい本を読んだら眠くなった経験をした事あると思うのです
わからない事を頭を使って理解しようとするので、脳が疲れてしまうのです
英語を聞き続けて疲れなくなったのが、オーストラリアに住み始めて2ヶ月くらい経った頃と記憶しています
ただ、相手の言っている事全て聞き取れていることはなかったです。単語をピックアップして周りの状況や相手の身振りなどから判断していた部分が大きかったです(2段階目へ)
2:単語・単語を拾いながら、話し手の意味がなんとなくわかる
身振り・手振り、そして周りの状況など言語以外の部分が意思疎通にとても役に立っていることが実感する段階です
そして、この時期が結構長かったと記憶しています
この段階の特徴は、ちょっと込み入った英文になると「オウム返し」ができない事
相手が言った事の意味や伝えようとしている事はわかるが、発言をそっくりそのまま自分でコピーはできない状態です
[voice icon=”http://business-eigo-global.com/wp-content/uploads/2017/01/charactor.you01.jpg” name=”あなた” type=”r icon_yellow”]What exactly did he say
(彼は実際になんて言ったの?)[/voice]
[voice icon=”http://business-eigo-global.com/wp-content/uploads/2017/01/Profile01.png” name=”シゲル” type=”l icon_blue”]He said something like…he doesn’t like the way I handle the task
(仕事のやり方が気に食わない、みたいな事言ってたかな・・)[/voice]
これが起こる理由は、発言者の言葉全てを拾えていないからです
(もちろん時間経過の要素もありますが。。)
発言者の言葉を全部聞き取れていないので、推測に頼った形になります。これが意外と通用することが多いので、英語を聞き取れているつもりの段階でもあります
この時期は、「英語独特の音」を認識できるようになるための期間です
例えば
- LとR
- First とfast (fˈəːst とfάːst )
- Stand と Stunned (stˈændとstʌ́nd)
などなど
この期間は3年程はあったかなぁと思います
3:話し手の言葉の英文を、ほぼ全部(9割以上)聞き取ることができる
この段階になると、「オウム返し」ができるようになってきます
そしてテープ起こしも1・2回聞くだけで可能になります
聞き取れない・理解できない時があるとすれば
- 話し手の滑舌・訛りが強すぎる
- 言い回し・イディオムを知らない
この二つの原因に絞られる段階です
例を二つ紹介します
この人の言っていることはわかります
でもこちらの動画一般人の右側の方が言っている内容は字幕を見ないと5割くらいしかわかりません。。
字幕を見ても「?」となる表現がたくさんあります。しかしアナウンサー達は爆笑していますよね
いつか同じタイミングで笑えるようになりたいものですが。。
こちらの男性は私にとって訛りが強いのと、おそらくオーストラリアのスラング満載で話しているのでわからないのかと思います
(もしかしてワザとそういう風に言っているのでは?と思えてしまいますが・・・)
ニュースキャスターの話している英語と比べるとその差は歴然です
と、このように「英語に慣れる」にも、いくつかの段階があるのです。
海外在住の年数は関係ない?
リスニングのレベルというのは海外に住んだ年数で決まるとは思えません
15年以上オーストラリアに住んでも、ニュースキャスターの英語を聞き取れない人は一定数いることを知っています
これは、やはり英語を勉強せずに住んできた結果によるものだと確信しています
「住む」だけでは聞けるようにはならないのです。やはり「勉強」が必要なのです
それも「正しいやり方で勉強」する必要があります
どれくらいで話せるようになる?
最初は英語そのものを口にする事自体に勇気が入りました 汗
そしてバリバリのカタカナ英語で話していました
サッと言えるのは短いフレーズに限定されます
- Thank you
- How are you
- How’s it going
- What did you ~ ?
などなど
すでに「意味」と「言い方」がわかっている物だけスラスラ言えました
「使役動詞」、「時制の使い分け」、「関係代名詞」等を使った文になると、頭に文を描きながら話していました
トライ&エラー
頭に文を描きながら話す事、それと同時にリスニングの勉強もしていると、6ヶ月程で次第に口から言葉が出やすくなりました
とはいえ、この時点では身振り手振りを使えば、自分の意図を大概伝えられるようなっています
そしてここが、「文法を知っている人」と「知らないの人」の今後の成長の分かれ目になります
文法を知っている事で、「自分の間違いに気づく事が出来た」事が今後の成長に繋がります
発言した後に、「あっ今の言い方違う」と気がつくので、次に話すときに気をつけるようになります
それを繰り返して、少しづつ間違いを無くしていきました
この期間も長かったです。3年程は繰り返していました
吸収して応用できるようになる
「英語に慣れる」の3段階目に差し掛かると、相手が言った言葉をそっくり吸収して使うことも、応用して使うこともできるようになります
この段階では、英語の「文法構造」と「リズム(流れ)」が頭に定着しているので、聞いた発言をそのまま使うこと(オウム返し)もできるし、単語を取り替えて応用もできるようになります
まとめ
いかがでしょうか?
大学留学をした場合の勉強量と課題として英語に触れる時間のイメージが掴めたでしょうか?
リスニングとスピーキングは、想像している量よりも全然少なかったのではないでしょうか?
- リスニング:720時間
- スピーキング:10時間
それに比べ、リーディングとライティングは、結構な量だと思います
- リーディング:18,000ページ+288,000文字+α
- ライティング:120,000文字
費やした時間は圧倒的に、リーディングとライティングが多いです
逆にリスニングとスピーキングに費やした時間は少ない為、3年くらいかかって、それなりのレベルに到達することができたと思います
重要!
ただ1つ言えるのは、リスニングもスピーキングも、リーディングとライティングを先に徹底していたからこそ伸ばすことができたといえます
この2つを先に勉強した結果、バイト先で、リスニング力とスピーキング力を伸ばすことができたのです
(詳細は今後スタートするメルマガにてお伝えします)
ここまで、読んでいただきありがとうございます
私なりの経験をお伝えする事で、留学に対するイメージがつかめればと思います
私の留学時に作成した論文・レポート等をご希望される方は、下記ボタンクリック後に表示される記事からダウンロードできます
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