英語の勉強に愛用しているドラマがあります。
オーストラリア英語盛りだくさんで、とてもコミカルな “Kath and Kim”
このドラマ、最初見たときは何を言っているのかよくわからなかったのですが、今ではすっかりハマってしまい。暇さえあれば、言い回しをコピって使っています。
先日も見ていたところ、面白い表現を発見したので紹介します。
日本語の「やけ酒」や「やけ食い」に使える悲しみを表現するイディオム表現です。
まずは動画をご覧ください。
(会話のやり取りは下記に解説しています)
この動画の18秒目に言ったフレーズ
- Maybe I’ll drown my sorrows in a billabong
→ビラボンでも食べてこの悲しみを忘れようかな。。
この”drown one’s sorrows” はイディオム表現として覚えておけば、とっさの一言として使える便利な言い回しです。
実際に英英辞書にも載っている表現です
drown one’s sorrows
Forget one’s problems by getting drunk:‘he bought a bottle of whisky to drown his sorrows’
Oxford dictionary
ドラマの中では、この表現を応用してコミカルな言い回しにしています。
通常、上記Oxford dictionaryの例文の様にそのままで使いますが、ドラマでは後ろに”in + 名詞”をつけて応用していますね。
“Billabong”はお菓子のアイスのことです。
つまり、直訳すると「自分の悲しみ」を「アイス」の中に「溺れさせる・浸す」の意味になります。
では会話のやり取りの解説です。
まずは実際のセリフから確認してください。
Sharon : Hi kim
Kim : Hi where have you been ?
Sharon : Oh, Been at Mark’s all night
Kim : Oh yeah? What did you do ?
Sharon : Oh you know, the usual. waited outside in my car and went through his rubbish
Sharon : That looks nice what’s that ?
Kim : Billabong. Yummy
Sharon : ah, Maybe I’ll drown my sorrows in a billabong
Kim : None Left
Sharon : Nothing goes right
Kim : Oh well boring. Places to meet, people to do.
「誰々んち」は “at + ‘s (place)”
KimがSharonに対して、”Where have you been”?(今までどこにいたの)?と質問します。
これは現在完了形の表現で、過去から現在に至るまでの「継続」を強調しています。
だからSharonも”(I’ve)been at Mark’s”(マークんち)と”been”を使って今までいたという「継続」のニュアンスで表現しているのです。
(MarkはSharonの彼氏の様な存在の人)
そしてここで使われている”at Mark’s”で「マークの家」と表現しています。
日本語の「○○んち」は、英語で”○○’s place”と言います。これは口語英語でよく使われる表現で、ドラマ中の様に”Place”を省略しても使われます。
例えば
Hey I’m going to throw a party at my place this weekend, do you wanna come ?
(ねぇ、今週末俺んちでパーティするけど、来る?)
Yeah ? alright. I’ll come
(そうなの?じゃあ行くよ)
日本語の「家」に当たる”house”や”home”を使っていないのが印象的ですね。
「あさる」「調べる」をシンプルな英語で英語で表現
マークの家にいたというシャロン
「何したの」とのKimの問いかけに、まずは”you know, the usual”と答えます
この”you know”は口語でよく使われる「まぁ」とか「あのね」とかに近い感覚で使われます。
そしてこの”the usual”は「普段通り」の意味です。
よく行きつけのバーなんかで「いつもの」と頼む時なんかに
I’ll have my usual thanks
(いつものよろしく)
なんて使う人もいます
(シゲル個人的に、この手の発言はなんか気取った印象を持たれるんじゃないかなあと思うのでオススメしませんが、参考までに。。)
そして、その「普段通り」の行いが”waited outside in my car and went through his rubbish”(外で車の中で待って、そして彼のゴミを漁る)というなんとも悲しいシャロンなのです
※それをケロっと言ってのけるのも彼女のキャラクターなのですが。。
ここで注目したいのが”go through”というとてもシンプルな単語で「調べる・漁る」を表現しているということ
(文中では過去形ですね)
“go through”はトンネルの中を通過する時にも使われます
何かの中を自分が通るイメージです
そこから派生して「ゴミの中を行って通る」=「漁る・調べる」と解釈することができます
やけ食い・やけ酒を英語で
すでに上で説明しましたが、今回のタイトルにある「やけ酒」や「やけ食い」は”drown one’s sorrows”で表現できます。
元々このイディオム単体で、「飲んで悲しみを忘れる」となるのですが、後ろに “in + 名詞”を取って
- 「〜を食べて悲しみを忘れる」=「〜をやけ食いする」
- 「〜を飲んで悲しみを忘れる」=「〜をやけ飲みする」
というように具体的に「何で悲しみを忘れるか」を表現する形で応用することができるのです。
例えば
I’ll drown my sorrows in cake and ice cream
(甘いものやけ食いしてやる)
や
I’ll drown my sorrows in whiskey and gin
ウィスキーとジンでもやけ酒だ!
という使い方ができます。
ドラマの中では”in a Billabong”と、冠詞の”a”を使っていますが、私の例では使っていません。
使う使わないは、話者の意図によって変わります。
Sharonはアイス1つで悲しみを忘れようとしたのがわかります。
もし私が”in a cake”と言ったら、ホールケーキまたはショートケーキ一個で悲しみを忘れることになります。
上の例では冠詞をつけないことで、量を限定せずに食べてやる!のニュアンスを出すことができるのです。
“a”や”the”は日本語話者には馴染みにくく奥の深い概念ですが、理解すると英文読解でスッキリすることが多いです。
None left とは?
日本語も口語では、主語や動詞が省略されることよくありますよね?
例えば、ポテチを差し出しながら
(あなたはポテチ)食べる?
(私はポテチを)いらない
この”none left”も同じです。
- “(there is) none left (in the freezer)”
→冷凍庫の中には1つも残ってないよ
と口語なので下線部の”none left”だけで済ませているのです。
それを知ったSharonが”Nothing goes right” と阿鼻叫喚します。
マークの家に行っても外で待ってゴミを漁っておわり、アイスクリームやけ食いで悲しみを忘れようとしたら、そのアイスクリームが残っていない。
そんな状況で”Nothing goes right” (何もうまくいかない。。)と泣き崩れ出すのです。
そして、また口語による主語・動詞の省略です。
“oh well (It’s) boring”(あ〜あ、つまんない)”(I’ve got)places to meet, people to do”( 色々と用事すまそ)
と阿鼻叫喚しているSharonをほったらかすのです。
参考にしてみてください。