「英語を英語で理解する」、いわゆる 英語脳 を作るにはどのようなトレーニングが必要なのかご紹介します
通常、英語脳を持たない日本語ネイティブの我々が、英文を聞いたり読んだりすると日本語に訳して理解しますよね?
例えばですが、
Is there anything else I can do for you?
と聞かれたら、
えっと there is の疑問文だから「〜がありますか」で・・・・ anything は「何か」でelse は「他に」・・
と、このように日本語に直しながら、英語を理解していくと思います。
特に英語の語順は、日本語の語順と違うので、どうしても「返り読み」をしてしまいます。
返り読みとは?
I like playing soccor は英語の語順のままでは「私は 好きです することが サッカーを」になります
これを自然な日本語にするために「私はサッカーをすることが好きです」と語順を返して理解する事を「返り読み」と言います
そしてこの「日本語に訳す」行為がリスニングの時の大きな障害になりますね。
リーディングは自分のペースで返し読みができますが、会話やリスニングとなるとそうもいきません。
相手の話すスピードに「返り読み」が間に合わなくなります。
だからこそ、英語を英語で理解する「英語脳」は、英語を実用レベルで使うには必須ですし、ちゃんとトレーニングすれば誰でも身につけることができます。
ここで一つ明確にしておきたいのですが
実は「英語を使える」と「英語を日本語訳にできる」は別物です。
※厳密に言うと「英語を自然な日本語表現にして伝える」ですが、これについては後述します
この記事では、英語を英語の語順で理解できるようになるためのトレーニング方法を紹介したいと思います。
英語脳の作り方:「英語を使える」≠「英語を日本語訳にできる」
先ほども述べたしたが、「英語を使える」と「英語を日本訳にできる」は別物です。
実はこれが、「英語脳」を習得するにあたり非常に重要な概念だと信じています。
と言うのも「英語を英語で理解する」を支えているのは「イメージ」だからです。
一つ具体例をあげます。
これは英語を勉強中の友人と飛行機移動中のやり取りで実際に起きたことなのですが、まさに上記の”Is there anything else I can do for you ?”と客室乗務員に言われた時のことです
CA(友人にお水を渡した後に)
Is there anything else I can do for you ?
ん?なんて聞いて来たの?
「何か他にお手伝いできることありますか」?って聞いてるよ
あぁそうなのね。でも”help”って言葉使ってなくない?
まぁそうだけど、そんな感じの意味だよ。
と、こんなやり取りをしたのを覚えています。
まさに私は上記英文の「イメージ」から、日本語に変換したので、「完璧な」日本語訳にはならなかったのです。
英文が長くなればなるほど、個別の単語を一語一句訳しながら自然な日本語表現するのは難しくなるのは、このためです。
「日本語訳は近似値でしかない」という意見もありますが、私はそれに賛成します。
だから英語脳を習得するには、英語を聞いた時に「頭の中で内容や意味をイメージできるようになること」であって「日本語訳にする」ことではないんです。
そして、そのトレーニングは「自然な」日本語訳を捨てる事から始まります
英語脳習得のポイント
英語を英語で理解する時のもう一つ壁に「語順」があります。
そうなんです。
気がついた方もいるかもしれませんが、『「自然な」日本語訳を捨てる』と言うのは、この日本語の語順に直すのをやめることでもあるのです。
つまり、先ほどの
- “Is there anything else I can do for you ?”
と言う英文を、
- 「何か他に私があなたの為にできることはございますか」?
とはせずに、意味のある文節(グループ)ごとに区切って、理解していきます
※説明の便宜上、先ほどのとは別の翻訳文に訂正しました。
先ほどの実際のやり取りの場面では「お手伝い」を使いましたが、今回紹介するトレーニング方法の説明の便宜上、翻訳文を修正しました。
例えば、上記の文であれば
- Is there:ありますか
- Anything else :何か他に
- I can do :私ができる
- for you:あなたのために
といった具合に理解していきます
「ありますか? 何か他に 私ができる あなたのために」
↑↑これ、自然な日本語訳ではないですが、話し手の言わんとしていること=イメージはわかりますよね?
そして、この英語語順の日本語訳で話の内容をイメージできるようになることが、日本語訳からの脱却に繋がっていきます
先ほど私は、「英語を英語で理解する」を支えているのは「イメージ」ですとお伝えしました
もしかして、こう思ったりしてませんか?
「英語を英語で理解しようとするなら、日本語は排除した方がいいのでは?」
そういう考えのもと、「多読」や「多聴」を繰り返してませんか?
- とりあえず英語ニュースを流しておこう
- 知らない単語多いけど洋書を読んでみよう
と
しかし、それを繰り返しおこなっているにも関わらず、英語習得に苦労していませんか?
残念ながら、「ある日突然英語が聞き取れるようになる」と巷で聞く体験を私はしたことがありません。。
どちらかと言うと、精聴によって英語の範囲を少しづつ広げていったと言う感じです。
聞き取れないニュースを読んでも「雑音」でしかありませんし、英文を読んでも意味がわからなければ「イメージ」がつかめませんよね?
だからこそ、「イメージ」をつかむ為には日本語訳が必要なのです。
先ほどの「ありますか? 何か他に 私ができる あなたのために」の日本語訳は、補助具みたいなものです
逆上がりができない人が、補助板を使い「逆上がりの感覚」を掴むように、英語を英語で理解できるように持っていくための補助具として「英語語順の日本語」を使う感覚です。
先ほど上に述べた
- Is there → ありますか
- Anything else → 何か他に
- I can do → 私ができる
- for you → あなたのために
このように英語の語順のまま、意味を理解していく時に下記のポイント2つを意識してみてください。
- 次を予測しながら聞いていくこと
- 場面を頭の中にイメージすること
英語脳習得のヒント1:次を予測しながら聞く
例えば”Is there”(ありますか)を聞いたら、「何が」?って思いますよね?
そう思っていると次に”Anything else”(何か他に)ときます。
さらに追加情報として”I can do for you”(あなたの為にできること)が聞こえて来ますので、語順通り理解しやすいのです。
このようにして、英語の語順で理解できる癖をつけると、返り読みを必要としない為、次々と流れてくる英語が理解しやすくなります。
関係代名詞を使った長い文章も理解できるようになってくるのです。
場面を頭の中にイメージする
日本語は「イメージ」を頭に描くための補助具だと説明しました。
つまり”Is there anything else I can do for you ?”(何か他にできることはございますか)を聞いたら、そのフレーズが使われそうな「場面や人」=「イメージ」を思い浮かべるのです。
英語圏に住む事が英語上達に有利である一つの理由は、英語が使われるときは必ずこの「イメージ」とセットになるからです
- 話し手の表情・口調
- 話の前後関係
- TPO
- 周りの環境
日本語訳が付いてる教材であれば、適切な場面をイメージしやすいと思います。
ここでちょっと話がそれますが、大事な概念なので紹介します。
それは
リスニングは読んですぐわかるものしか理解できない
です
リスニングって、頭の中に聞き取れた英語を思い浮かべて、それを「読む」行為に近いですよね?
つまり頭の中では
- 「音」→「文字」→「意味」
の順で処理されているわけです
実は英語脳を手に入れるトレーニングは「文字」→「意味」の処理がスムーズにいくようにすることでもあります
つまり上記2つのポイントは、リーディングをする時にも意識する事で英語脳取得に効果的なのです
そうして、英語脳が出来上がってくると、リーディングのスピードが上がるだけではありません。
リスニングの時に脳内の処理が
- 「音」→「意味」
に変わり、「文字」を介さなくても英語の音がそのまま意味をなしてくるのです。
もちろん、英語を聞き取れることが前提ですので、リーディングだけではなく精聴のリスニングが必要です
だからこのブログでは口が酸っぱくなるくらい「英語初〜中級者はスクリプト付のリスニング教材を使う事」と薦めているのです
英語脳習得のまとめ
いかかがでしょうか。
英語脳を習得するために必要なのは「完璧な日本語訳を捨てる事」なのです。
英語を英語で理解するのに必要なのは、日本語訳ではなくイメージです
だから、英語が堪能な方でも長い英文を通訳した時に、若干不自然な表現になるのが否めないのはそのためなのです。(同時通訳者さんすごすぎです)
英語脳を取得するためには、英語の語順で理解する必要があります。
そのため、まずは英語語順の日本語で「イメージ」を掴めるようにトレーニングします。
その時のポイントは
- 予測しながら
- 場面をイメージんしながら
の二つ。
ぜひ参考にして見てください。