シャドーイング は私がスピーキング力アップのために試した勉強方法の中で効果が劇的にみられた方法の一つです。
ただ、スピーキングは英語スキルの中でも一番上級レベルになるため、他のスキル(文法・リスニング・語彙力・ライティング力など)おろそかな状態だとトレーニングの効果がうまく出ないので注意が必要になります。
もしあなたが、次のような悩みを抱えている場合
- 『思ったことがとっさに口から出てこない』!
- 『英文はかけるのに会話になると言葉につまる』
シャドーイングよりも『瞬間英作文』の方が、悩み解決において有効になります。
では、シャドーイングの主な効果は何なのか?
これは非常に大事なことなのですが、英語のトレーニングを行うときは
トレーニングの目的をキチンと理解すること
です。
なので、「なんの為にシャドーイングをするのか」?
ここをまずは明確に理解しておく必要があります。
ということで、この記事ではその辺についてご紹介したいと思います。
シャドーイングとは?
シャドーイングとは、お手本となる英語を聞いて音を追いかけながら発声していくトレーニングです。
例えば
Astronauts could soon be getting a slick wardrobe update (お手本)
Astronauts could soon be getting a slick wardrobe update(自分)
のように後を追いかけながら、英語を発音していきます。
このシャドーイングを行う際はいくつかおさえておくべきポイントがあります。
シャドーイングの効果
シャドーイングに効果があるのはスピーキング力、会話力アップだけではないんです。
上に簡単に紹介しましたがシャドーイングは『聞く』と『話す』をほぼ同時に行う必要があります。
つまり、『リスニング力』が必要となるので、必然的にそのスキルが向上します。
シャドーイングの効果は大きく分けて次の3つです。
- リスニング力
- 発音・イントネーション
- 表現力
リスニング力が上達
シャドーイングは自分が聞き取れていない部分が明確にわかります。
なぜなら
聞き取れなかった音は、自分でも口に出すことができないから
です。
何気なく聞いている場合は、聞き取れた単語と単語をつなぎ合わせて状況を理解していることなんてザラにあります。
これはこれで、リスニングスキルの大切な3つの要素の1つでもありますが、シャドーイングではそのスキルよりも「一語一句きちんと聞き取れる」方が大切になってきます。
リスニングスキル3つ要素
リスニング力は次の3つのスキルの掛け合わせになります
- 聞いた音(単語&英文)を識別できる能力
- 聞いた音(単語&英文)の意味を理解できる能力
- 意味を理解した単語&英文から大まかな流れを掴む能力
つまり、シャドーイングは『精聴』のトレーニングでもあるのです。
自分が聞き取れない苦手とする音がシャドーイングをすることで明確にわかるようになります。
特に「リンキング」や「省略音」の知識が身につくので、実践的な聞き取り能力が格段にアップします。
「リンキング」や「省略音」の知識が身につく
「リンキング」とは音と音のつながりのことです。
日本語でもありますが、文字どおりに発音しないことは英語でもたくさんあります。
日本語
「この間」→「こないだ」
「なんて言ったけ」→「なんつったけ」
「体育館(たいいくかん)」→「たいっかん」
英語
“How’s it going”→”How zit go en”
“What’s going on”→”S’going’ on”
“what’s up?”→”S’up”
オーストラリア英語になりますが、「リンキング」や「省略音」について参考になると思う動画を紹介しますので、ぜひ見てみてください。
このような音のつながりや省略音が聞き取れるようになる為には、セリフ(スクリプト)をみて、「この単語はこういう風に発音されるのか」と認識することがとても大切です。
実際にシャドーイングをやってみるとわかると思いますが、、モゴモゴ言ってしまう部分がきっと出てくると思います。
その原因はキチンと音を拾えていないからです。
音を拾えない原因は
- 単語そのものが知らない
- 単語は知っているけど、正しい音で認識していない
- リンキングや省略音に慣れていない
と言った理由が挙げられます。
実践的な英語を聞き取れるようになる為には、この「リンキング」と「省略音」を理解できるようになることがとても大切です。
生の英語ってこの2つがじゃんじゃん出てきますから。。
単語を覚える際に、単語帳や暗記ノートで覚えることをオススメしない理由がここにあります。
この「リンキング」と「省略音」の感覚が身についてくると
全く聞き取れないのに、読んだら簡単な英文だった!
と言った現象が次第になくっていきますよ!
受け身姿勢が消える
シャドーイングを行うときは、「聞き漏らさないようにしよう」という意識が絶対に働きます。
受け身で聞き流すわけには行かないので、自然とリスニング練習でいう『精聴』のトレーニングを行うことになります。
シャドーイングをすることによって、リスニング力の底上げをはかることが可能になります。
発音・イントネーションが上達
私自身もそうですが、英語の発音はどうしてもカタカナに頼ってしまいがちです。
きっとあなたもそうではないでしょうか?
私は日本語の音から徐々に英語らしい音にシフトして言ったのですが、発音については今も学習中です。
最近、英語学習のやり直しを決めたのですが、発音もやり直しをする項目の一つで、英語の母音と子音をちゃんと理解しようと思いました。
頼る音が自分の日本語の音が元となると、アクセントの強弱や抑揚(イントネーション)がわからないので、同じトーンのまま発音してしまったり、どこで区切って良いのかわからなくなりますよね?
間違ったまま定着してしまう『化石化』に近い現象が起きてしまうので、自己流の音読だけでなくシャドーイングも取り入れることが大切です。
間違った音で認識してしまうと、聞き取れないばかりか、相手にも通じることができなくなってしまいます。
その点シャドーイングは、聞こえた音をそのまま真似する行為です。
自分のカタカナ発音に直す方が手間なので、自然と本物の英語の発音・イントネーション・強弱が学べます。
大阪弁を聞いたら大阪弁を真似する感覚で、自分の意思を挟むことなく真似することが大切です。
使える英語表現が増える
インプットとアウトプットの記事でも紹介しましたが、サッと出てくる英語は頭に入っている英語のほんのごく一部です。
これは単語の習得度の記事でもお伝えしましたが、単語や英語表現には、一口に「覚える」といっても7段階の習得度を意識する必要があります。
- 見たら文脈からなんとなくわかる
- 見た瞬間にパッとわかる
- 見た瞬間にパッとわかる・聞いた瞬間に文脈からわかる
- 見た瞬間・聞いた瞬間にパッとわかる
- 見た瞬間・聞いた瞬間にパッとわかる+書ける
- 見た瞬間・聞いた瞬間にパッとわかる+正しい文脈の中で書ける
- 見た瞬間・聞いた瞬間にパッとわかる+正しい文脈の中で書ける+発音できる
シャドーイングは、この習得度を7まで上げてくれるトレーニング方法でもあります。
まずは次のやりとりを見てみてください。
“Adam, your job description is exactly the same as mine ~”からです
最後に男性が放った一言を聞き取れたでしょうか?
(会話のセリフは、動画の説明欄に記載しています)
男性は”Thin ice Shaun, Thin ice”と言いました。
この “Thin ice“という表現は、 “skate on thin ice”(危ない橋をわたる)というイディオムからきているのですが、”thin ice”だけで使われることも頻繁にあります。
イディオム集で覚えていた場合、『読めばわかる、正しい文脈の中でかける』まではなるかもしれませんが、”thin ice”だけで使われると「ん?」てなる可能性が高いと思いませんか?
実際には”thin ice” と間が開かず”thinice”とくっついて聞こえたと思いますし、ヒントとなるSkateという単語もありませんから、一層聞き取りのレベルが上がります。
シャドーイングを繰り返すことで、こう言った「会話のパターン」を習得していくことになりますし、同じ状況になった時にスラッと出てくるようになります。
「聞き取れない」が「聞けば理解できる」にかわり
やがて「シャドーイングできる」という段階を経ていきます。
そしてシャドーイングを繰り返していくと、その表現が自分の口からスラッと出てくるようになるのです。
つまシャドーイングの効果は、自分の中にある英語表現の習得度を最終段階まで上げてくれるトレーニングでもあるのです。
習得度が最終段階まできた英語表現がたくさん頭にできてくるとシャドーイングはどんどん楽になっていき、細かなところまで磨き上げていくことができるようになります。
次の記事では、シャドーイングの具体的なやり方を紹介したいと思います。